私のエッセー集

 

・インターネットって丸いもの

・インターネットは嫌い

・壊れた雨樋の下

・手首のこぶ
・ご苦労さん旅行
・最後の一日
・職業欄は無職

竹トンボ

 

インターネットって丸いもの

 しのは、とても好奇心の強い女の子です。いつも何か新しいことを見つけては、試しております。

今日も始めました。自分の気ままの文章をインターネットで発表してみようと考え、本屋で「ホームページの作り方」などの本を買い、ぎこちない手でキーボードを叩いていました。

そこへ、老いてますます元気なおじいさんが来て、しのに話かけました。

「おまえ、また何を始めたんだ」
「私のホームページを作っているの」
 ここから二人のとりとめのない会話が始まりました。

「そうだ、この頃テレビでインターネット、ホームページだと言っているが、いったいそれはどんなものなんだ」
「・・・」 しのは、言葉に詰まってしまいました。
「80を超えたおじチャンは、こんなことを知らなくてもいいの・・」
しのは、冷たくあしらおうとしましたが、ピンピンジーさんは、不服顔でマウス動かしながら、ボタンを押してしまいました、。
さあ大変、作業中の画面が急に変わったしまったのです。  おじいさんはびっくりして、申し訳なさそうにしのの顔を覗きました。
「だめだよ!いたずらしては」
「ごめん、壊れたのか?」
「大丈夫だと思う・・」
「そうか、インターネットて、丸い物か、四角い物か、教えろよ。」
「え!」
「物ならなら、丸いとか重いとかあるだろう」
「三角か、丸いか、重いか、言われても答えられないよ・・、世界中のコンピュータを電話線で繋いで、情報交換をする仕組みだよ。インターネットを使っていろんなことを調べることが出来るの」
「判らねー」
「ジーちゃん、今何か知りたいことがある?」
「明日の競馬何がくるかだよ」
「じゃチョット調べてあげる。」

しのは、相手はどうせチンプンカンプンなのだから、適当に話しかけながら、マウスをガチャガチャ動かし、とにかくそれらしい情報を見つけて、おじーさんに印刷してあげました。

くるくる変わる画面としのの動作を、脇で見ていたおじいさんは、
「難しいだ、俺には、無理だ・・」と、
一言つぶやいて、しのから貰った競馬予想を持って出ていきました。

しのは、その後ろ姿を見て、いつかパソコンに、触らせてやろうと思いました。

                         終わり(トップへ)